ゴリラウォッチ ファストバックGT ミラージュ

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さて、ウォッチレビュー第一弾は「ゴリラウォッチ ファストバックGT ミラージュ」です。


衝撃

一目見たら忘れられない時計、それがGorillawatches Fastback GT Mirage (250 Limited Edition)。何これ?すごい!鮮やかな水色とオレンジの色使いにノックアウトです!70年代レースシーンの懐かしくも新しいガルフカラーがGood!(※写真では水色の発色がちょっと濃い目に出ています。本当はもう少し薄いです。)


素材を見ると、セラミック、アノダイズドアルミ、カーボン、そしてケースバックはチタン、さらに隠れたところでストラップが一般的なシリコンではなく、バイトンという工業用の高性能素材。凄すぎます!ステンレスの出番がないとは...。(そのせいもあり、見た目よりもずっしりとした手応えです。)


ブランド設立&デザイナー

ゴリラウォッチは2016年にスタートアップした新興ブランド。ただそのメンバーが凄い!オーディマピゲの元チーフ・アーティスティック・オフィサー、オクタヴィオ・ガルシアと有名ブランドでデザインを手がけてきたルーカス・ゴップのコンビ。期待が高まらないほうがおかしいというものです。

コンセプト

  • パワー、パフォーマンス、レアリティ。それぞれ、デザイン、ハイパフォーマンス素材の組み合わせ、販売数とトップが直接ユーザーと対話するということの希少性、で実現する。
  • ウオッチ業界は変化し続けており、自分たちの経験を発揮するのはエントリーレベルが面白いと見定めた。
  • 真のウォッチ・エクスペリエンスとバリューフォーマネーを提供する。

アグレッシブです。経験豊富な高級時計ではなく、革新をもたらそうとするマインドが素晴らしいです。加えてエントリーレベルから入ろうとするなんて、さすがの見識。おそらくここから上位に向け、ディスラプション=創造的破壊で突き進むつもりなのでしょう。


FASTBACK LIMITED EDITIONなんですね。商品名からするとFASTBACK GT LIMITED EDITIONが普通だと思うですが。GTは商品化の過程での後付けなのでしょうか?

魅力的なコレクション

2016年に赤/黒のFastbackを500個限定で発売。その後カラーバリエーションを増やし、今年はデザインと素材のグレードをさらに高めたFastback GTシリーズを追加。特にDriftは、Vaucher Manufacture Fleurierとのコラボで、ワンダリングアワーコンプリケーションを搭載。この価格帯ではありえない!当然の流れとして、Grand Prix d'Horlogerie de Geneve (GPHG)にもノミネートされる快挙を成し遂げました。

  • Fastback GT Drift: ワンダリングアワー搭載!
  • Fastback GT Mirage: Ford GT40のガルフカラー!
  • Fastback GT Bandit: ブラック&ゴールド。70年代TVシリーズの人気車のカラーだそうですが、日本では漆に金箔の伝統工芸のイメージの方が強いかも。それはそれで面白いけどね。
  • Fastback: 緑や白の多色展開。言っちゃ悪いがスポーツウォッチのよう。オリジナルのブラック&レッドの方がずっと良かったな(※個人の感想です)。ストラップをGTのようなタイプにすればまた違ったと思います。

私が自分で買うならGTコレクションのどれかですね。Driftはモノとしてとても魅力的なのですが、このコンプリケーションにどこまでの(実用的)価値を見出すかでしょうか。コンプリケーションに実用性を言ってはいけないんでしょうけど...見にくくて高価というのは如何なものかと。ゴリラウォッチのせいではないですが。

となるとやっぱりMirageですかね。Banditも悪くないのですが、このクレイジーなカラーを見逃す手はないでしょう。限定モデルですしね。まだ手に入るのだろうか?(→ 2018/11/3 オンラインストアは完売みたい。ということは、あとは流通在庫だけですね)。https://www.gorillawatches.ch/product/mirage/


Bad News: 日本での価格

ここまではぶっちぎりでいい話なのですが、ここら辺から少しうーんとなる話になっていきます。それは日本市場向けの価格。スイスのGorillawatches本社は、エントリーレベルで革新的なウォッチを市場にぶつける戦略で、価格もベースのFastbackがUnder $1000と明確にしています。ところが日本ではそれが法外な値付けになっていて、設立者の意思とずれていると思われるのですよこれが。以下に比較表なぞどうぞ。

モデルスイス/海外オンライン日本店頭/オンライン
Fastback GT Drift2970 CHF (33万円)58万円
Fastback GT Mirage1230 CHF (14万円)28万円
Fastback GT Bandit1230 CHF (14万円)28万円
Fastback950 CHF (11万円)14万円

エントリーモデルのFastbackはまあ許せるとして、GTの価格差は2倍!差額は何に使うの?という値付け。あくまで推測ですが、日本の代理店サイドがゴリラウォッチのポテンシャルに気づいて、ここは最初からプレミアム・ブランド化してしまえ!という戦略なんじゃない?という気がします。日本ではある程度の価格の方が、高級品アピールしやすいですからね。でもここはひとつ、設立者の"A true horological experience and the value for money" という崇高な理念に沿って日本展開して欲しいところです。


ネットメディアや雑誌も安易に「それだけの価値はある」などと書かない方が良いように思います。最終的には書いたメディア自身の眼力が問われますからね。まあ掲載依頼を受けての記事でしょうから「価格設定に疑問」と書きにくいのは想像に難くありませんが。でも、ムーブメントと多少の外装デザイン、それにストラップの変更だけですからね〜。

ミラージュにタッチ!

つい話がそれました。ミラージュに戻ると、フォージドカーボンのサイド部分。爪でつつくとコツコツと非常に硬質な音がします。もう少しプラスチックっぽいのかと思っていました。ベゼルは初めて見たパウダーブルーのセラミック。表面に色を塗ってあるのではありません。このベゼルカラーだけでも買う価値があるくらい。おまけにリューズもチタン!

ストラップ素材のバイトンは、デュポン開発の工業用高性能フッ素ゴムですが、特性が気になる方はここら辺(PDF)が参考になります。耐寒性がちょっとシリコンより落ちるかな、くらいで、それ以外の耐候性などは万全です。直射日光下に20年晒されてもヒビ割れが出ない頑強な特性だそう。ガソリンなどの耐油性も最高レベル。無理やり折り曲げたりしなければ、ムーブメントよりずっと長持ちしそうです。ベゼルと微妙に色調が違うのはご愛嬌でしょうか。セラミックとゴムですからね。

これだけ色々な素材を使ってこの価格ということは、利益はそう大きくないに違いありません。それとも当面このケース(デザイン)を使い続ける計画なのかな?


レビューなどでは、ケースが大きいのにつけ心地がとても良いという評価。確かにその通りです。腕に沿って滑らかにフィットしてバランスもいい。これは、ストラップがゴム素材かつ取り付け部が下に向いているから。実はランニングウォッチなどスポーツ系のウォッチではごく普通の作りで、驚くには当たりません。でもさすがデザイナー、ちゃんと研究してるんですね。

ダイヤルはややビジーで、視認性が良いとは言い難いですが、まあそのためのウォッチではありませんからマイナス要素ではありません。ムーブメントがMiyota 90S5になって振動数が上がったのは、秒針が滑らかになったのでよかったと思います。

見た目は一見「子供のおもちゃ(!)」に見える、あるいは派手すぎて合わせる服がない、とお思いの方もいらっしゃるでしょうが、実は普段のカジュアルウェアに合わせてもまったく違和感がなく、びっくりです。さすがにスーツに合わせて仕事で使うわけにはいきませんけどね。

というわけで、Gorilla Fastback GT Mirage、ハイパフォーマンス素材の集積体を(比較的)手軽に楽しめるウォッチです。今後のバリエーション展開にあたって、ランチパックみたいに色違いとかオマージュする車違いとかを乱発しないことを望みます。Driftみたいにコンプリケーション違いで、一気に上までラインナップを揃えて欲しいですね。楽しみです。

参考文献

ミラージュの価格とキャッチコピー(HPより引用
  • 赤紫:価格が大違い!
  • 水色:英語からの追記。魅力を伝えるための努力なので悪いことではない。
  • 黄色:誤訳 or 適切とは言えない訳。時計に詳しくない方が訳されたよう。

日本サイト: MIRAGE -¥278,640(税込)
リミデッド・エディションであるファストバックGTミラージュの大胆なカラーコンビネーションは1968年に開催されたル・マン24時間レースで優勝した伝説的なフォードGT40の色彩的なスタイリングによってデザインされています。

ファストバックGTミラージュは、唯一限定品のみに採用されたチェッカーフラッグ柄のフォージド・カーボンケースに、六色製版方法によるオレンジ色のアノダイズド・アルミのピンストライプ、そしてパウダーブルーカラーのセラミックベゼルによって、カラーコードへのオマージュを完成させています。まさに、最先端マテリアルコンビネーションを使ったゴリラウォッチのコンセプトである『創造的破壊』をさらに強調したモデルと言えます。ミラージュのパウダーブルーとオレンジのカラーコードは高密度のバイトンラバーベルトを通しても手首の周りに再現されています。

GTミラージュの多層ダイアルにおける24個のインデックスは一つ一つ個別に装飾されています。ロジウム加工のガンメタルグレーに縦線ブラシ仕上げされたアラビア数字が白のフラット文字盤に対して立体感を出しています。5時30分に位置する開口部スケルトン化された時間ディスクは、90S5キャリバーの心臓部を見事にさらけ出してくれます。

全てのGTコレクションはサファイアクリスタル、チタン製のオープンケースバックを通じて90S5のキャリバーと特注されたローターを見ることが出来ます。 (世界250本限定)


海外サイト: MIRAGE - 1'230 CHF incl. tax and shipping
The bold color combination of the Fastback GT Mirage limited edition takes its chromatic styling cues from the legendary Ford GT 40, victorious at LeMans in 1968.

The Fastback GT Mirage amplifies the concept of radical material combinations by adopting a new woven forged carbon case, a hexachrome orange anodized pinstripe, and to complete the color code hommage a powder blue ceramic bezel.

The multilayed dial of the GT Mirage is marked with 24 individually applied, vertically brushed numerals in rhodium tinted gunmetal grey. An aperture at 17h30 and a specific skeletonized hour disc expose the beating heart of the 90S5 caliber.

Revolution
Catching up with Octavio Garcia of Gorilla Watches
June 27, 2018

"The idea behind Gorilla was to leverage the experience we had as inside creatives to push the envelope of watch design. We felt that the whole environment for watches was changing and we sensed that an interesting place to use our experience was at the entry level. There aren’t many interesting projects in this price point and we had the opportunity to make a statement."

"We have designed and engineelightcyan a product that is recognizable and integrates high tech materials in a well thought out way that really offers the wearer a true horological experience and the value for money that you get is unmatched."


Augustman
From Audemars Piguet to Gorilla: A Chat with Octavio Garcia
March 26, 2018

"He is a pioneer who is not afraid to take risks. He appreciates the combination of craftsmanship and high-tech materials. He is somebody with taste."

"The money will only be a means to make the brand and product more beautiful. I love the art of watchmaking, so as a contributor to this beautiful industry I wanted to make sure I do it with respect and passion."


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