192khz/24bitのハイレゾ音源に金額分の価値はあるか?

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e-onkyoで、Deccaのハイレゾ音源が期間限定のセール中。ギドン・クレーメルの「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」が、192khz/24bitの最高音質で¥1,500。いい時代になったものです。


コアなクラシック・ファンとはいえない私でも、研ぎ澄まされた、素晴らしい演奏と感じる内容ですので、素直に音楽を楽しむ分にはここで終わりなのですが、音楽を聴きながらふと思いました。1980年の録音で192khzも必要なのだろうか? さっそくSpekとAudacityで見てみました。

192khz

おー、しっかり90khzくらいまでデータが入っています。さすがに空っぽではなかったようですね。が... しかし... これは非常に不自然です。スペクトラムの下の方は演奏なので自然ですが、30khzくらいで一度レベルが落ち込んで(紺)、その後の高い周波数領域が異常に盛り上がる(赤)形になっています。


Audacityで一部を切り出してグラフ化すると、以下のようになっています。35khzくらいから一直線に盛り上がっているのは可聴周波数外のノイズなんでしょうね。もともとのアナログ録音時にこんなノイズが入るわけはないので、DSD特有の高周波ノイズがそのまま残っているように思います。FLACはPCMなのだから、ストレートなPCM変換だけでなく、高周波ノイズくらいフィルターしてくれても良さそうなものですが、どうなんでしょうか?


それに、これだったらどうせ聞こえないんだから192khzもいらず、半分の96khz、いや、1/4の48khzでもいいのでは?と思い、XLDで再エンコードしてみました。それぞれのスペクトラムは以下の通りです。

96khz

ノイズが増える40khz過ぎで落ちているので、たぶん音響データは丸々残っているのではないかと思います。いいんじゃないかな?



48khz

20khz過ぎで急速に減衰。いかにも人為的ですが、どうせ私の年齢では、20khzはおろか15khzも聞こえるかどうかでしょうから、これで十分なんじゃない?と思わせるデータです。そうすればファイルサイズもだいぶ小さくなりますしね。高周波がいきなりカットされるのが気にはなりますけど。



聴き比べてみると、192khzと96khzは全然違いがわかりませんでした。48khzは、一生懸命比べるとですが、少しだけ角が取れたような感じかな〜、という印象でした(周波数だけを考えれば、これも違いが分からないだろうと思ったのですが)。二本の撚り糸が一本に感じられるというか、そんな感じ。ただし、比べているという意識があるための思い込みかもしれません。

で、XDP-100Rには、自分の耳を信じて96khz版を入れることにしました。データ量が半分で済みますからね。48khzでも、外で聴くなら違いが分からないとは思うのですが、そこは趣味の世界、自分で少し落ちると思っているものを聴くのも何ですから。

結局、このアルバムの192khz/24bitというのは、ほぼユーザーを引っ張り込むためのマーケティング用のキーワードに過ぎず、実際にはほとんどデータの無駄遣い、ということなんでしょう。違いが分かるオーディオファンの方は、そうではないとおっしゃるかも知れませんが、DSDなら当然の波形としても、PCMでこれではね。

おまけ

別の96khz/24bit音源です。25khzあたりから上はほぼ真っ黒でデータなし。96khzでなく48khzでもあまり変わらないんじゃないでしょうか?あと、どうでもいいのですが、2つの異なるセッティングの機材で収録したデータをミックスしたようにも見えます。



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