車のガラスコーティング剤ピカピカレインプレミアムって本当に効果があるの?
最近車のワックスがけが面倒になってきました。何かいい手がないかとネットを探したら、ワックスよりもコーティング剤が簡単なよう。モノによっては硬い被膜で数年間手入れいらず、という謳い文句のものまであります。これって本当なんでしょうか?
コーティング剤の基礎
一般人にも分かり、かつ、信頼できる解説として、以下のPDFがベストです。これを読むと、コーティング剤自体はマユツバものの怪しげな液体ではなく、素性の確かな化学物質であることが分かります。▶︎ 自動車ボディー用防汚コーティング剤の動向について - スリーボンドテクニカルニュース No. 87 (PDF)
これによると、ボディーコートは以下の4種類に分類できるようです。
- ワックス
- 樹脂系
- ガラス繊維系( ▶︎ Amazonで「ワコーズ VAC バリアスコート」を見る)
- ガラス硬化系( ▶︎ Amazonで「ピカピカレインプレミアム」を見る)
ガラス系には2種類あり、ガラス硬化系というのは、常温でガラス成分の被膜ができるもの。ガラスは高熱で溶かして作るイメージしかなかったので、常温の化学反応でもできることは初めて知りました。へぇーそうなんだ!それぞれの特徴はざっと以下とのこと。
- ガラス繊維系:簡易型で被膜が塗装面に乗っているだけなので耐久性が低い。
- ガラス硬化系:塗装面と共有結合するので強固。
となるとわたし的にはピカピカレインプレミアムですね。施工は繊維系の方が塗るだけなので簡単なようですが、なるべく手入れの間隔を延ばしたいので。でも、ガラス硬化系の化学物質は科学的に確かなものとしても、ピカピカレインプレミアムという製品って本当に大丈夫なんでしょうか?
ピカピカレインプレミアムの成分は?
発売元のサイトを見ても、成分についての説明は何もありません。特許を取得して世界で発売とか、どうも胡散臭さがぬぐえません。それで3年は持つと言われてもにわかには信じがたい感じです。小さな瓶の中に何が入っているのか気になって、いろいろ調べてみました。シラグシタール?
まず手がかりは製品紹介のページに記載されている「特許」。写真の解像度が低くて番号が読み取りにくいのですが、以下の特許でした。▶︎ 特許第2538527号 金属酸化物ガラスの膜および球体微粒子の製造方法
これは現在新技術創造研究所の保持する特許で、製品名シラグシタール (SIRAGUSITAL)となっています。SiO2のガラス構造の中に金属酸化物を含むガラス膜の製法特許です。
各種資料の断片をつなげていくと、コスモテクノロジーがHLGシステムとして積極的に製品展開しており、スリーボンドユニコムに製品カタログ(PDF)があります。また、PCSグループで車のコーティング剤として使用されていますが、むしろ国土交通省や土木・建設分野で、トンネル内部やコンクリート壁などの防汚コーティングに使われる方が多いようです。シラグシタールはそれなりに実績のある製品ですね。
話をピカピカレインに戻すと、ガラス硬化系のピカピカレインのラインアップは以下のように拡大してきていますので、特許を使用したという記載がある以上、少なくとも最初の「NEWピカピカレイン」はシラグシタール系と判断して差し支えないと思います。
- 2008 xx NEW ピカピカレイン (親水性)
- 2012 05 スーパーピカピカレイン (親水性)
- 2013 09 ハイパーピカピカレイン (撥水性)
- 2015 05 ピカピカレインプレミアム (滑水性)
しかし、現在の製品もそうかは分かりませんでした。というのも、ガラス硬化系のコーティング塗料としては、他にも以下のようなものがあるからです。
アクアミカ / トレスマイル
シラグシタールは金属酸化物を含むガラス膜ができますが、アクアミカ(PDF)はポリシラザンという化学物質からスタートすることで、純粋なSiO2ガラス膜になります(だから金属酸化物を含むタイプよりも優れている、ということではなさそうですが)。親水性の製品だけのようですが、現在クォーツガラスコーティングに採用されているようです。事業部門にかなりの変遷があって辿るのが大変でしたが、以下のように移管されていました。
- 東燃 → クラリアントジャパン → AZ エレクトロニックマテリアルズ
ちなみにアクアミカというとなんだか可愛らしいので、日本でつけられた名前かと思いましたが、本来はAQUAMICA (アクアマイカ)という、もともと海外で使われていた製品名みたいです。現在はトレスマイルという名称に変更されています。
ウルトラグラスコーティング
これはスリーボンドが展開する製品群です。冒頭の技術資料もこの会社のもの。アクアミカと同じくポリシラザンベース。日本では(少なくとも)スバル、三菱、ホンダが純正のコーティングサービスに採用しています。調べるまでもなく、各社のサイトにスリーボンド6659などと明記されています。この実績があったのも、ガラス硬化系のコーティング剤を信じる気になった大きな理由です。ウルトラグラスコーティングは、これまでに以下のように製品が拡大しています。- 2005 ウルトラグラスコーティング (低撥水)
- 2009 ウルトラグラスコーティングNEO (撥水+滑水)
- 2015年度末 ウルトラグラスコーティングNE'X (撥水+滑水)
ちなみにスリーボンドの本社は南大沢です。南多摩幼稚園から多摩ニュータウン通りに下る坂の下のあたりに、去年くらいに新しいビルができて移転したよう。長池公園西側のMiniStopから走って10分かからないでしょう。近所なのでびっくりしました。
結局ピカピカレインプレミアムの中身は何?
長々と書いて来ましたが、残念ながらはっきりとは分かりませんでした。最初のNEWピカピカレインがシラグシタールを使ったのだろうとは思いますが、次からどうしたのかは不明です。販売元のトップラン(以前はオアシス)が、大規模な研究開発ができる規模でもなさそうなので、おそらく既存のコーティング剤をベースにしているのだろうと考えても、
- シラグシタールは撥水や滑水などの特性についての大規模なアップデート情報がなく、
- ウルトラグラスコーティングは製品リリースのタイミングがピカピカレインと食い違う。自社製品でなく原料としても販売しているのか不明。メーカー純正と食い合う一般販売用に売るのも得策じゃない気もするし。
- アクアミカは親水性の特性だけ?でも原料としても売っているようで、ポリシラザン系は親水性、撥水性などの調整ができるという話もある。
という、どれもぴったりマッチしない状況。うーん、この三択だったらアクアミカかな?どまりでちょっと残念です。(上記以外の会社でも原料を作っていたりするので、そういうルートかもしれません。)
結論
ピカピカレインプレミアムの、成分/原料/メーカーがこれだから確かに大丈夫、という確証は得られませんでした。しかし、上記を調べていると、ネットのブログで多くの人が効果を報告していて、これだけ事例があるなら大丈夫だろうという感触は得られました。中でもこのブログが詳細で好きです。一般人はここまでやる必要はないんじゃない?とは思いますが。というわけで、25mlの小瓶が約1万円するという高価な薬剤ですが、買って試すことにしました。どうなったかは、何ヶ月かして効果の有無が確認できたらアップデートしたいと思います。
▶︎ Amazonで「ピカピカレインプレミアム」を見る
※書いていたら時間がなくなったので、今日のランニングはお休みです。しまった!
2018/2/12 アップデート
自分の車にピカピカレインプレミアムを自分で施工して半年、深い艶と光沢が維持されていて、洗車場の水洗いだけで汚れは全て落ちてしまいます。水も勝手にスルスルと落ちて行って爽快。夏場に3時間かけて施工(二度塗り)した甲斐があるというものです。私は念のため洗剤+手洗いコースにして、泡まみれの状態で優しくマイクロファイバーのタオルで撫でています。ここまでやれば完璧でしょう。こする必要は全くありません。逆に細かい傷になるのが気になってこすれませんけどね。
ちなみに最後にマイクロファイバーのタオルで残った水滴を拭き取ってから走り出します。拭き取らずに走り出すと、60km/h前後でボンネットの水滴がまるでフロントガラスの撥水加工をした時のように流れて行くのがまた気持ちいいのですが、リアの方は風の巻き込みとともに埃も巻き上げるので、逆に残った水滴に土埃などがついてしまいます。少なくともリアは残った水滴を拭き取ってから走った方が良いでしょう。リアはバンパーの上の水平面とか、隙間とか、いくらピカピカレインを塗っていても風では水が流れませんからね。
あと、小型SUVの二度塗りをしても小瓶の中身は半分も減りませんでした。しばらく冷蔵庫に入れておきましたが、実家に帰った際に両親の小型車にも二度塗りしました。こちらはもう10年以上経った古い車で表面は細かい傷だらけ、ワックスも最近は塗っていないという状態でしたが、ピカピカレインを塗ったら、うちの車と同様ピカピカに。
両親が「まるで新車に戻ったみたい」「雨の後が楽しみ」などと喜んでいるので、私も自分の車に施工した時よりも嬉しくなりました。やっぱり歳をとると車の手入れも辛くなるようですが、いつも車がピカピカだと日常生活にも少し張りが出るのではないでしょうか。体力に自信のある方は親孝行にもオススメです。
なお、2台の小型車×二度塗りでちょうど空になりました。正確には瓶の底にちょっとだけ残っています。開封から半年経ってしかも冷蔵庫にも入れていないのに全然固まる気配がありません。おそらく、施行時にスポンジにつけるたびに蓋をきっちり閉めていたので、ほとんど外の空気に触れなかったからでしょう。いつになったら固まるのか観察してみましょうかね。
※初めてフリー素材の写真(ぱくたそ)を使ってみました。こういう時のワンポイントには便利ですね。あまり使うとまとめサイトみたいになるので、せいぜい一枚かな。
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