ハイレゾDAP (XDP-100R) デジタルフィルターの選び方

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今日も雨で走れません。XDP-100RやTD-M1で音楽を聴きつつ読書の休日、晴走雨読です。さて、XDP-100Rのメニューにデジタルフィルターが3種類あるんですが、明確な説明が見当たりません。どう使い分けるんだろう?


メーカーの解説

パイオニアのホームページには、波形らしきもののイメージとともに、以下のような説明が載っています。(メニュー自体や取説には説明がない)
SHARP:一般的なフィルター機能で、カチッとした骨格感が出る印象の音に。
SLOW:応答性に優れ、弦楽器などの音色や響きが柔らかく、自然な雰囲気の音に。
SHORT:音の立ち上がりのリニアリティが良く、前に出てくるような印象の音に。
うーむ...、簡単過ぎて、どれも良さそうで、結局どれがいいのかよく分かりません。自分の耳を信じなさいということでしょうが、やはり初心者としては一般的な基準は押さえておきたいところ。むしろ自分の耳の方が信じられませんから。(ちなみに、PioneerのXDP-100Rに限らず、XDP-300R、XDP-30R、ONKYOのDP-X1、DP-X1A、DP-S1、GRANBEAT DP-CMX1も、DAPとしての基本設計は共通なので、同じ状態でした。)

3つフィルタの特徴を調べてみた

ということでネットを技術情報を調べつつ、設定を変えながらフィルタによる違いを試聴してみました。色々調べたところ、3つのデジタルフィルタの特性は、以下のように整理できそうです。インパルス応答のグラフより右が私が推測した内容。多分あっているんじゃないかと思いますが、違う解釈もあるようで、100%の自信はありません...。

※赤が主な悪影響、黄色が多少の悪影響です。

名称ホームページの説明インパルス応答フィルタ特性
(推測)
分散
(定位への影響)
プリリンギング
(不要な音の立ち上がり)
急峻性
(最高域の伸び)
SHARP一般的なフィルター機能で、カチッとした骨格感が出る印象の音に。線形位相
(急峻なロールオフ)
なし
SLOW応答性に優れ、弦楽器などの音色や響きが柔らかく、自然な雰囲気の音に。線形位相
(スローロールオフ)
なし
SHORT音の立ち上がりのリニアリティが良く、前に出てくるような印象の音に。最小位相ありなし
[※グラフはXDP-100RのHPから引用]
この表から判断すると、それぞれの特徴傾向は以下のようになりそうです。
SHARP:音の定位や最高音部分の伸びはいいが、音自体に不自然さが発生しやすい(※これはプリリンギングのことです。プリリンギングとは、プリ=前、リンギング=鳴り。デジタルフィルタの影響で、本当の音の前に(ごく)小さな音が発生してしまうことを差します。)
SLOW:音の定位が良く、音の立ち上がりや最高域の音のバランスも悪くない。
SHORT:線形位相でないため音の定位は他よりも劣るが、音の立ち上がりに優れる。最高域の伸びもいい。ポストエコーが長めかも。

※フィルターのインパルスレスポンスの波形と音の傾向については、旭化成のサイトが一番わかりやすいのを発見しました。av.watchの記事にも同じ図があったので、そちらへのリンクを。次の記事の真ん中ちょっと上の6種類の波形が載っている図です。▶︎ハイレゾ再生に重要な「DAC」の役割とは? 旭化成エレクトロニクスの“マイスター”に聞く(av.watch)

フィルタの使い分け方法

これらの特徴から、XDP-100Rでのデジタルフィルタの使い分けは、以下のようになるかな〜と思います。(あくまで私の感覚ですが)
SHARP使い道なし。いや、SLOWがストイック過ぎるときに、力強さを増すのには使えそう。でもそれくらいかな。
SLOW実空間での音源の定位・分離・広がり重視。 例えば、実際の空間に楽器が複数配置された状態で録音した場合、ピアノなど大きな楽器を至近距離から録音した場合などに、音楽の流れる空間全体の把握や、それぞれの楽器/音源の存在を感じるのに効果的。クラシックとかジャズのライブとかですかね。
SHORT個々の音の鮮度重視。例えばドラムスやパーカッションのような立ち上がりの鋭い楽器が重要な比重を占める場合、小さな楽器を単独で録音した場合、パートごとに録音してミックスした場合など、音の解像度を楽しむのに効果的。ポップスやロックのスタジオ録音とか、コンピュータでの打ち込み系とか。あと、左右に飛び回る音などが強調されたり、反響が大き目になるので、そういう目的にも。
上記なような点を頭に入れてから音楽を聴いてみると、耳を傾けるべきポイントがはっきりするので、フィルタによる違いが聞き分けられるようになりました(音色ではなく、音の鳴る位置や全体の響き具合に注意しましょう。音の立ち上がりの鋭さを比べようとしても、ちょっと難しいです)。ヘッドフォンでも十分わかりますね。これまでSHORTにしていたのですが、音はシャキッとしているんだけど、なんだか全体がごちゃごちゃ反響している感じがして、うーん、だったのですが、きっと音源の定位に影響が出るからに違いありません。ポストエコーが長めなのも影響しているかもしれませんが。とりあえずフィルタの特性から納得できたので、スッキリしました。

こうだったらいいな

定性的・主観的な部分が多いこともあり、メーカーがユーザーの指摘を懸念したのかもしれませんが、もう少し丁寧に説明して欲しかったところです。それぞれのネーミングも良くないですよね。SHARP、SLOWはフィルターの周波数特性の高域の落ち具合、SHORTは音の立ち上がり時間から来ているのでしょうが、技術的な由来ではなく、効果を表す名前にして欲しかったところ。特に、せっかく優れた特性のSLOWが、どうも語感が悪いので、なんだか他より劣ったフィルタみたいな印象を受けてしまいます。SHARP / SLOW / SHORTは、それぞれ、DEFAULT / SOUNDSTAGE / HI-SPEED、ぐらいがいいのではないでしょうか。

もう一つ欲を言えば「SHORTのスローロールオフ版」を追加してもらえれば、もしかするとほとんどの場合ベストなフィルタになるかもしれません。DACチップに内蔵されていないんですかね。

まとめ

自分でも驚いたことに、デジタルフィルターを変えるだけで、音楽が自分のスイートスポットにぴったりはまるようになりました(音質とかそういう単純な単語だと伝わらない)。これまで音が鮮明だろうからとSHORTにしていましたが、私にとっては自然な音像がそれ以上に大切だったようです。なんだかSHORTは昔懐かしい擬似サラウンド的に聞こえてきました。響きのいいホールにいるというか何というか...。今日からデジタルフィルタはSLOWに変更です!

参考文献

▶︎XDP-100R製品ページ
▶︎Ayre C-5xeMP - ディジタルフィルターの考察と再構築へのアプローチ (PDF)
▶︎デジタルフィルターの意義とResonessence Labsが複数のデジタル・フィルターを提供する理由
▶︎リサンプリング・ノイズフィルター詳細
▶︎CONCERO HD(※後半のデジタルフィルターの特性)
▶︎デジタルフィルターの仕組みと効果――ESS直系、レゾネッセンス・ラボのポケットDAC「HERUS+」を試す (2/5)


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