セミの声の自由研究:スペクトルで見る暑苦しさと涼しさ

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今朝は午前中のんびり近場を散歩してきました。ここら辺は街路樹から雑木林まで緑豊かで、夏ともなるとセミの声がにぎやかです。セミの声にも、暑苦しいアブラゼミやクマゼミから涼しげなヒグラシまで、いろいろあります。暑さを感じるのは、単なる夏の熱気の連想か、はたまた声自体 に特徴があるのか、 試しにスペクトラムを分析してみました。セミの声が人の感覚とどう結びつくか、ちょっと覗いてみたというところです。 なんだか夏休みの自由研究を思い出します。スペクトルのグラフは横軸が時間、縦軸が周波数、色が強さを表します。では行きます。

アブラゼミ


暑苦しい声の代表。クマゼミも暑い夏の風景を連想させますが、アブラゼミの方が暑苦しいように思います。まあ、たぶんに主観的なものですが。さて、スペクトルを見ると、ゆっくり鳴き始めて次第に高音部が増して行くのが分かります。まるでエンジンの回転数が上がって行くようで、これが声の質とともに、熱気を感じさせる一因かも知れません。5kHz前後の低音部と10kHz前後の高音部の2パート構成ですね。




クマゼミ


こちらも暑苦しい声の代表。東京では昔聞かなかったように思いますが、最近はよく聞きますね。シュワシュワシュワシュワ...という感じで、アブラゼミの ような上昇感やミンミンゼミのようなダイナミックな変化はありません。このサンプルでは、後半おとなしい鳴き方に変化していますが、どちらも一定のリズムです。声が大きいのでうるさいのですが、実は淡々としているのがクマゼミ。時間方向のサイクルが短いので慌ただしい→暑さを感じる、という面はありそうです。





ミンミンゼミ


ミーンミンミンミンミンミーー ・・・、の繰り返し。前半部だけの繰り返しだったらもっとうるさかったに違いありません。ミー・・・、の「間」があるので暑苦しさ半減というところでしょうか。前半部は他のセミに比べて高周波数の領域が飛び抜けています。「ミ」に聞こえるのは、スペクトルの構成が人の発声と似ているからなのでしょう。少し鼻が詰まった感じに聞こえますが。





ニイニイゼミ


チーーーーーーーーー〜、とでも書くしかありません。虫の鳴き声の表現は難しいです。他のセミと異なり、8kHz前後が主音域なので鳴き声が高音寄りです。時間方向の強弱もあまりないので、音としては単純に聞こえますが、後半1/3のあたりでだんだん鳴き声が低音寄りに遷移し(疲れるのかな?)、再び一気に出だしの高音パートにつながります。私はこの部分が結構好きだったりします。





ヒグラシ


涼やかで優雅なハーモニー。他のセミとはひと味違うと言ったら言い過ぎでしょうか? 音が一気に立ち上がった後、音程と音量を下げつつスーッと消え、しばらく休んでまた始まります。低音から高音まで5部構成なのも澄んだ声の理由かも知れません。さらに、実際に林の中で聞くと、こちらで鳴いたと思うとあちら、時には一斉にと、寄せては引く波さながら。一匹が一回に鳴く時間は5秒ほどと短く、間もかなり開くのですが、集団が呼応して鳴くことで、見事なハーモニーとなります。





ツクツクホウシ


ツクツクホーシの「ホーシ」の部分で高域までグッと延びた声が出ています。最後の上の方に広がった形になっている部分は、ジーーー・・・と終わりに入るところ。スペクトルの形はミンミンゼミに似ていますが、どちらかというと高音寄りなので、少しキンキンうるさい感じになるのでしょう。




高尾山などに行くと、さらに別の山のセミがいると思いますが、この辺のセミはこれで全部です。セミの声は千差万別。以上、暑い夏の週末自由研究でした。

2 件のコメント :

  1. ( •̀_•́)งイイデスネ! ニイニイゼミの鳴き声ってシンセみたいだなと思いスペクトラムを知ろうとしてこの記事にたどり着きました。他の蝉の鳴き声とも比較ができて大変興味深い記事です!ありがとうございました。

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    1. コメントありがとうございます。確かにニイニイゼミの声はシンセっぽいですね。耳に突き刺さるというか、頭の中で直接鳴っているような錯覚に陥るというか。林の中で360度、いろいろなセミの声に囲まれると、豊かな音だなーと思います。セミの声がなかったら夏も寂しい感じになりそう。豊かな自然は残していかないと、なんて思う今日この頃です。

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