丹沢登山のルート定数

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出典:国土地理院ホームページ
地理院タイル (標高タイル)を加工して作成

先日の丹沢主稜核心部の周回、とても疲れました。距離が多少短いので、丹沢主脈縦走よりは楽じゃないかと思ったのですが、ほとんど同じ疲労感でした。距離だけでは疲労度が分からないとなると、コースのハードさを客観的に知ることはできないのかな?と思って調べたら、登山の世界では数年前から「ルート定数」というものが使われ始めているようです。
(コース定数と表記しているところもあるようですが、ルート定数が正しいみたい。でも本当はルート指数が正確なんだろうな。)

ルート定数 = 1.8*行動時間[h] + ( 0.3*歩行距離[km] + 10.0*上りの累積標高差[km] + 0.6*下りの累積標高差[km] )  ※山本正嘉教授 (鹿屋体育大学)
新潟、長野、山梨、静岡県では、ルート定数を10で割って1を加えたもの(1〜10)で「必要体力度レベル」 を表しています。【関連記事はこちら】

1〜3:  日帰りが可能 (ルート定数 0〜29)
4〜5:  1泊以上が適当 (ルート定数 30〜49)
6〜7:  1〜2泊以上が適当 (ルート定数 50〜69)
8〜10: 2〜3泊以上が適当 (ルート定数 70〜99)
冒頭の式を見るとわかるように、計算に必要なデータは、時間、距離、累積上昇/下降だけ。これは登山のガイドブックには必ず書いてある数字ですし、GPSログデータのGPXファイルからも取得できます。試しにGPXファイルから丹沢主稜(神ノ川ヒュッテ〜蛭ヶ岳周回)と丹沢主脈縦走(焼山登山口〜蛭ヶ岳〜大倉)のルート定数を計算してみました。

(※以下のルート定数は私の個人データに基づいたものであり、公式/一般的なデータに基づいたものではありません。あくまで参考としてご覧ください。行動時間には個人差がありますし(どれだけ時間かかったかですから)、距離と累積上昇/下降も、GPSの計測誤差やデータ処理時の補正や間引きの誤差があります。ヤマケイアルペンガイドの本の数字に基づくと値はもう少し大きくなります。試しに計算したら丹沢主脈縦走は53.1でした(私のGPXでは48.7)。行動時間の差が大きいようです。)

丹沢主稜(神ノ川ヒュッテ〜蛭ヶ岳)周回: 43.4

GPX filename= kannokawa-2015-11-1.gpx
Distance    = 17.6 km ( Skipped = 0 m )
Course time = 9 h 7 m ( 9.12 h,  32859 s )
Rest time   = 1 h 8 m ( 1.13 h,  4080 s )
Ascend      = 2235 m
Descend     = 2252 m
Route Index = 43.4

丹沢主脈縦走(焼山登山口〜蛭ヶ岳〜大倉): 48.7

GPX filename= tanzawa-shumyaku-2015-1-11.gpx
Distance    = 24.9 km ( Skipped = 0 m )
Course time = 8 h 40 m ( 8.67 h,  31226 s )
Rest time   = 0 h 54 m ( 0.9 h,  3270 s )
Ascend      = 2592 m
Descend     = 2286 m
Route Index = 48.7
これを見ると、やっぱり丹沢主脈縦走の方が距離が長い分、ハードみたいですね。ちなみに同じ蛭ヶ岳を通るコースでは、塩水橋〜蛭ヶ岳ピストンしたことがありますが、こちらは...

塩水橋〜蛭ヶ岳ピストン: 43.8

GPX filename= Hirugatake-2014-11-23.gpx
Distance    = 20.1 km ( Skipped = 198 m )
Course time = 6 h 59 m ( 6.98 h,  25143 s )
Rest time   = 0 h 29 m ( 0.48 h,  1740 s )
Ascend      = 2490 m
Descend     = 2041 m
Route Index = 43.8
お、丹沢主稜周回とほとんど同じだ。でも丹沢主稜核心部周回の方が疲れた気がしたんですけどね〜。前日までのランニングの疲労のせいだったのかもしれません。ま、いずれにしても、どのコースも体力度レベルは5になるので、本当は一泊するのが適当なようです。疲れるわけです。おまけで菩提峠(ほぼヤビツ峠)〜塔ノ岳ピストンは

菩提峠(ほぼヤビツ峠)〜塔ノ岳ピストン: 30.3

GPX filename= Tonotake-2014-12-14.gpx
Distance    = 13.4 km ( Skipped = 96 m )
Course time = 6 h 17 m ( 6.28 h,  22629 s )
Rest time   = 0 h 58 m ( 0.97 h,  3510 s )
Ascend      = 1576 m
Descend     = 1564 m
Route Index = 30.3
こっちはだいぶコース定数が小さいです。感覚ともあっています。ちなみに丹沢以外は

みずがきやま自然公園〜不動滝〜瑞牆山〜金峰山〜みずがきやま公園:45.5
丹波山村村営駐車場〜雲取山〜雲取山荘ピストン:37.7
東日原〜鷹ノ巣山ピストン:29.5
でした。

丹沢は低山の範疇ですが、麓の標高が低いので、高低差は結構あります。またアップダウンもたくさんあるので累積標高差が大きくなり、ルート定数(=必要体力度レベル)が大きくなります。

私が1日で歩けるのは丹沢主脈縦走くらいが限界かな〜。

参考文献

登山の運動生理とトレーニング 山本正嘉(鹿屋体育大学)
平成24年度 大学生登山リーダー春山研修会 2012,5,23 (PDF)
※登山とトレーニングの関係が科学的に分析されており、非常に参考になります。


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