トレッキング:全天球カメラRICOH THETA Sは解像度不足だが使えるか?
360°全天球カメラのリコー・シータS、普通のカメラでは撮れない写真が簡単に撮れるのがいいです。そしてトレッキングする方なら誰しも、山頂からの360°のシーンを一発で撮れたら...、と思ってきたことでしょう。でも、THETA Sについて気になる点が2つあります。
(※最初の写真はFlickrからのイメージ写真。私の家の写真ではありません。)
1. 遠くは小さくしか写らないけど、山頂で周囲360°の山の景色を撮って感動が伝わるのかな?
山頂や展望ポイントから、眼下に遠くまで広がる景色を見たときの、ワーッというあの感じですね。ネットを探すと、近くの山の上から撮ったり、百名山を巡ってTHETAで山頂から撮ったりなどのサイトが結構見つかりますが、それを見て広大な空間の感覚が伝わるかというと、うーん、なかなか伝わりません。失礼なのでリンクはしませんが、探して見てみると感じがわかると思います。広く写るから広大な感覚が伝わるというものでもなさそうです。
山頂からの撮影で感動が伝わらない理由は幾つかあるでしょうけど、ぐるりと見渡す山並みをパノラマ撮影しても全然面白くないのと、根は一緒でしょう。自分の感動したポイントに焦点が当たらないから、単なる空間の記録にしかなりません。例えば乾徳山山頂から富士山と甲府盆地を撮ったパノラマ写真(↓)を見ても、ふーん、くらいですよね。
それに、山頂といってもそれなりの広さがあるので、近くの地面と遠くの山だけの平板な写真になりがちです。特にカメラの高さが人の背丈と同じくらいの場合。この二点が主な理由でしょう。(+次に書く、解像度不足のため遠景の画質が悪いことも影響していそうです。)
逆に言えば、
■少し高い岩の上などに登って撮る。
■自撮り棒を高く掲げる。
■近景と遠景の差が極端な絶壁付近で撮る(危険!)。
■周囲で仲間にポーズをとってもらう。
など、ちょっとした工夫ですごくインパクトのある写真が撮れそうです。単に山頂で周囲をぐるりと写したい!という発想を変えればいいだけですね。トレッキングに近い状況では、以下のサイトのTHETA Sの写真が、記録と言いながら近景の面白さにフォーカスしていて楽しめました。
登山ガイド 沖本浩一のブログ -「山の上でジャンプ」: THETA S(シータS)は全てを撮影できる究極の旅行用記録カメラ
2. 全天球を一枚のJPEGにするけど、解像度が不足して画像が粗いんじゃない?
解像度が不足というコメントが多かったので、どれくらい不足しているのか計算してみました。比較対象は、ほぼ同じセンサーサイズかつ一番売れているデジカメ(?)のiPhone 6sです。
Apple iPhone 6s: 解像度= 4010 x 3008 (12M), 画角= 29mm相当29mmは一般的でないので、広く使われている28mm画角が、全天周のどれくらいの割合を写しているのか計算してみると約7%でした (※高校の積分と三角関数で何とか。詳細は省略ということで。間違っているかも)。これにiPhone 6sの12MピクセルとTheta Sの14Mピクセルの比を加味しても約8.4%にしかなりません。
Ricoh THETA S: 解像度= 5376 × 2688 (14M), 画角= 全天周
ということは、THETA Sの解像度が今の12倍(=1/0.084)にならないと、普通のコンデジで撮った写真のピクセル密度に追いつけないということです。解像度が不足と言われるわけですね。以下は解像度をその比率で変えてみたサンプルです(※1/2.3インチセンサーのコンデジ、TG-630の写真ベース)。解像度を下げた左の方が明らかに画質が悪いです。
解像度12倍の差を埋めるにはかなりの年数がかかりそうですから、やっぱりTHETA Sは遠くの画質は捨てて、近景の面白さや全体のパターンの面白さに着目して撮影するのが良さそうですね。トレッキングよりもむしろ街中でのスナップ向きのような気もしてきました。
あとはメーカーがコストアップを承知でセンサーを増やした高解像度版を用意するか。VRコンテンツ制作向けならアリでしょうか。センサーは2個の次だと4個(正4面体配置)かと思いますが、形がなんだか魔法のマジカルステッキみたいになりそうです。
というわけで、Ricoh THETA S、面白いのは確かなのですが、購入はもうちょっと待つことにしました。解像度は別にいいとして、このオンリーワンの写りをきっちり使いこなせるかな〜? という感じなので。
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