次世代ハイレゾ規格MQA
先日DSF 11.2Mhzのオーディオファイル(15GB)を延々ダウンロードして辛い目にあった私、次のハイレゾアルバムはもうFLAC 96khzでいいかな〜、などと思いつつ物色していると、MQAという規格に行き当たりました。
MQAってどうなの?と調べた結論は...
- 仕組みはやや曖昧だが、ハイレゾが約1/8のサイズ。これは使える。
- 仕様未公開のため、本当にハイレゾと言えるのかという議論が絶えない。
- 広く普及するまではリスクや少々制限あるかも。
MQAの概要
- 基本的な技術の名称(PCM等)やフォーマットの名称(mp3,wav等)ではない。オーディオの録音から再生までのプロセスの規格。
- 一企業により開発されたプロプラエタリな規格。詳細は非公開。
- 再生時にオリジナルデータと同一になるロスレスではない。発案者曰く「音楽としてロスがない」という広義の(ややこじつけの)ロスレス。
- ハイレゾのノイズ部分や音楽として寄与しない部分を取り除き、かつ高周波領域でもオーディオとして必要な信号は、ノイズしかない下位ビットに埋め込むことで保存(音楽のオリガミというキャッチフレーズでうまく注目を集めている)。
- サイズの圧縮だけでなく、時間軸での波形の再現にこだわりあり (これは素晴らしいと思う)。DACの特性なども情報として持っている"らしい"が、詳細不明。
圧縮技術として
- 高圧縮なのに高音質というのが概ねの評価。したがってハイレゾ圧縮方式としては十分成立していると思う。RIAAでもハイレゾ技術として認定されているし。
- ただし、PCMやDSDなどのようなビットレベルでのロスレスとは違うという指摘はある。この辺は、私のようなエントリー層には関係ないが、コアなオーディオファイルにどう響くか興味はある。ピュアな音を追究しているのに、MQAは録音されたオリジナルデータを完全には再現しない点で(聞いてわかるかどうかは別として)。
規格として
- プロプラエタリな(オープンでない)規格。技術内容が一般に公開されていないため、有効性の根拠への疑念など論争が根強く残る。早くスッキリさせてほしいところ。
- MQA社という一企業に、オーディオデータ生成のコア部分を握られる(ブラックボックス)という点が、オープンな規格やライセンス団体の管理する規格とは大きく異なる。例えば、普及が進むとMQA社の発言力が強くなるだろう。その場合、配信業者はライセンス料の値上げを拒否できないだろう。などとつい想像してしまいます。
- 利用にはライセンス料が必要。最終的には消費者の負担となる。この点については、消費者のメリット(ダウンロード時間/費用、ストレージコストの削減)の方が上回れば問題なし。市場原理。
気になる点
- 消費者からすると、今後普及してデファクト化すれば意識せずに使えるだろうが、普及率が低いままだとリスクを抱えながらの利用となる。例えばMQA社が倒産したり、配信業者やオーディオプレーヤーメーカーが将来サポートをやめた場合、手元に残されたMQAデータはほぼCD音質となる。他の規格はオープンなためそのような懸念はない。したがって今後の普及状況を気にしておく必要はある。業界がこぞって対応したのに全く普及しなかった3D TVなんて例もあるし。
- MQAのハードデコーダーは商品化されているが、ソフトデコーダーは部分的なデコードしか商品化されていない(2017/4時点)。つまり、MQA形式のファイルは(ノーマルな)FLACやDSFなどのオープンフォーマットに完全には変換できない。MQA社の定めたエコシステムの中だけでしか利用できないのが、何となく気持ち悪い。
- 配信業者のサーバーやネットワークコストにもメリットがあるのだから、むしろDSDやFLACの高ビットレートよりもMQAを安い値付けにして、一気にハイレゾを普及させる戦略を希望。ライセンス料で欲張らずに。
- 24bit前提の優位性という気がしないでもない。下位ビットがノイズだからそこを使うというなら、例えば20bitだとどうなのかな?
- 実はニセモノでハイレゾではなかった、という可能性が0ではない。オープンな検証がされていないので。その点が気になる方は、当面既存フォーマットを使えばよいでしょう。ダウンロードなら夜やっておけばいいだけなので。
などなど、細かい点は気になりますが、FLACやDSDなど他のフォーマットと値段が変わらないなら、ユーザーのメリットは大きいと思うので、私は使ってみることにします。幸い(というか買う時には気にもしませんでしたが)XDP-100RはMQAをサポートしているので、新たに機材を買いそろえる必要もないですしね。逆にいうとXDP-100RがなかったらMQAは買わなかったな〜。新たなDACなどを買わないとハイレゾで聞けませんから。
参考URL
About MQAMQA(和訳) -鈴木 弘明 (P45~57) - 日本オーディオ協会 (PDF)
IS MQA DOA ?
A Comprehensive Q&A With MQA's Bob Stuart
Master Quality Authenticated
Why We Won't Be Supporting MQA
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