トレッキング/登山の前に読むべし遭難の本
トレッキング・登山と、ランニングなど日常のスポーツの違いは、命の危険の大小。本で知識を身につけておくのは損にはなりません。山の危険性を心に刷り込むのに良さそうな本をいくつかご紹介。ただし私のようなにわかトレッカーの言うことですので、あくまでひとつの入口とお考えください。(※画像はAmazonへのリンクになっていますので、興味のある本があればそのままジャンプできます。)
八甲田山死の彷徨
私が小学生の頃、映画「八甲田山」が流行りました。「天は我を見放したー」や氷の絶壁を登れずに滑り落ちる凍傷軍人の映像は、純真な子供心にハンマーで楔を打ち込む衝撃度。あまりのインパクトに、映画を見たあと原作「八甲田山死の彷徨」を買って読んだのは言うまでもありません。この「八甲田山」で私の深層心理に山への畏怖が刻み込まれたのでした。
聖職の碑
さらに数年後、今度は同じく新田次郎の「聖職の碑」が映画化。これも悲劇でした...。これで山への畏怖がMAX.2倍に増強されました。今でも山に行く時、ふっと悪いことが脳裏に浮かぶのは、この二冊に原点があります。三つ子の魂百までも。(※新田次郎はどれもいい本ばかりです。)
トレイルランニングを楽しむ
時は30年ほど流れ、ランニングを始めて半年くらいの頃でしょうか、ふと「トレイルランニングを楽しむ」を読みました。これは面白かったですね。そうか、こういうランニングもあるんだ、是非トレランしてみたい、自分にもできそうじゃん、という気持ちになりました。この本自体は遭難には関係ありませんが、その後の遭難本への端緒になったのと、とても良い本だったので載せておきます。
山岳地図の読み方・使い方
この頃からトレランを始めましたが、一方で頭はトレランと違う方向に走りました。山を走るなら地図を読めないとマズイらしい、というわけで読んだのが「山岳地図の読み方・使い方」。今読み直すとスマホの地図アプリ+GPSの方がはっきり便利で強力なのですが、故障も電池切れもしない地図の特性と、いざという時に自力でなんとかするサバイバルスキルの重要性&それへの憧れから、やっぱり地図を読めるといいなあと今でも思います。私の地図読みの力は、初心者+本一冊を読んだくらい=ほぼ初心者のままですが。
道迷い遭難を防ぐ最新読図術
地図読みの本を読んで、そうか道に迷うと大変だな〜、山での道迷いがどんなものか見てみるか、くらいの気持ちで、関係する本を探して手に取ってみました。これは実際の道迷い・遭難の事例と地形図を読むことの大切さが、上手にリンクしてまとめられていて、非常に参考になりました。地図を読もうというモチベーションが上がる内容ですね。当時はトレランで万一の時は地図もいるかもなあ、くらいの気持ちで読んでいましたが、トレッキングを始めた今、地図と地図読の切実さは数段上がりました。あの尾根はどれかな? と時々地図が気になるのはこの本のおかげです。
生還〜山岳遭難からの救出〜
だんだんとダークな方向に引きずり込まれていきます。上の本には地図・地形を読めずに遭難した話もちらほらあります。道迷いの次ということはいよいよ遭難。「生還」は地図読みとは関係ない完全に遭難の本。遭難から生還した7人の経験がインタビュー含め語られています。前は断崖後ろは絶壁という場所で身動きが取れなくなった話とか、ほんの一時間下山が遅れただけで何日も雪に閉じ込められ凍傷で指を失った話とか、滑落で怪我をして下山できず、傷跡や目にウジが湧いて入り込んできた話など、非常に生々しい体験が語られています。そしてそれらは、登山のエキスパートが極限領域で体験した話ではなく、日本の山で私たち普通のハイカーに起きたことなのです。これは必読でしょう。
山の遭難〜あなたの山登りは大丈夫か〜
「生還」は遭難した人の体験にフォーカスした重い内容でしたが、こちらはもう少しライトな感覚です。遭難した人の体験を簡単に紹介するとともに、その時の救助する側の様子、近年の山岳事故の増加の状況、ツアー登山・ガイド登山の問題など、遭難体験よりも山の遭難を社会問題として捉えた内容。個々の体験談は短いものの数は多く、熊に食べられてしまった話とか、雪山遭難とか、こちらもなかなか厳しい話が載っています。山岳遭難を取り巻く日本の現状を知りたい方に。
山歩きのオキテ〜山小屋の主人が教える11章
一時あまりに悲惨な遭難の話ばかり読んでいたので、反動でもう少し軽い方向に走ります。「山歩きのオキテ〜山小屋の主人が教える11章」は、はっきりと中高年向きの内容なので、若い人や体力に自信のある方には関係ない章もありますが、山小屋の親父が語る、山の自然、マナー、開発、山での不思議な体験など、なかなか勉強になりました。文庫本になっているので手軽に読めるのも良いですね。
以上トレッキング・登山の前に読んで気を引き締めるべき遭難の本でした。暑い夏、お盆休みにでも読んでみてはいかがでしょうか? 世の中にはまだまだいろいろあるので、Amazonの山の遭難関係の本も載せておきます。
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